外壁のサイディングボードの直張り工法とは
本日は外壁のサイディングボードの直張り工法についてご紹介いたします。
直張り工法とは
業者から「サイディングが直張りだから張替えしかできません」と言われた方がいらっしゃいました。
外壁の塗装工事と張替え工事では大きく費用が変わってきます。
当然、張替え工事の方が高額な工事になります。
工事を行うとして、出来れば金額は抑えたいもので、張替え工事はしたくないものですよね。
なぜ、直張り工法だと張替え工事を行うのか。
そもそも、直張り工法とは、柱の外側に張る防水シートの上に直接サイディングボードを張り付ける工法のことで、1990年代に主流だった工法になります。
対して、2000年代になると通気工法という、防水シートとサイディングの間に通気胴縁(つうきどうぶつ)という木材が挟むことで、空気が通る隙間を確保する工法が主流になりました。
直張り工法の場合、空気の抜け道がないため、内部に湿気が溜まりやすく、溜まった湿気が外へ逃げようと直接サイディングを通って抜けようとします。
この現象が起こると、サイディング内に水分が含まれて、塗料の剥離を引き起こしたり、サイディング自体の弱体化へと繋がります。
こうしたことを避けるために通気工法のように空気が抜ける道を作って、内部の湿気を逃がす工法が主流になったのです。
直張り工法と通気工法の見分け方ですが、基礎部分と外壁の間に施工されている水切り部分から調べることができます。
この水切りとサイディングボードの間に薄いカードなどを差し込んで、奥行きを確認します。
奥行きがサイディングボードの厚さと同じくらいの1~1.5センチほどなら直張り、2センチ以上なら通気工法と考えられます。
直張り工法が張替えを推奨されている理由
先ほど直張りだとサイディングボードから直接湿気が抜けようとするとご説明しましたが、この状態で塗装を行った場合、内側から塗膜を膨らませてしまい、最終的に塗料が耐え切れなくなって穴が開いて剥離してしまいます。
これを繰り返してしまい、塗装をする、剥離、塗装の繰り返しになってしまいます。
せっかく塗装を行っても、すぐに塗料が剥げてしまっては意味がありません。
そのため、基本的に外壁の張替え、または既存のサイディングの上にカバー工法で新たに外壁を施行する工法が推奨されます。
これが一般的に直張りの時に張替えを推奨される理由になります。
直張り工法と塗装
直張り工法の特徴と張替えを推奨されるお話をしましたが、100%で必ずしも先ほど話したような症状が起こるわけではありません。
全体的に症状が出る建物もあれば、部分的に剥離してくる建物、または塗装を行ってから初めて症状が出るお家もあります。
建物により発生の有無は変わります。
ただ、直張り工法の場合は塗膜の剥離が起きやすいというリスクが大きいということは言えます。
では、直張り工法の場合は必ず張替えをしなくてはならないのでしょうか。
これについては、不具合を確実に取り除きたい場合は張替え工事を行うか、可能な限りリスクを取り除いてから塗装を行うの2つの選択肢があります。
外壁の膨れや剥離の症状がほとんど見れない場合、費用をできる限り抑えたい場合は塗装も行えます。
この場合の塗料は透湿性塗料を使いましょう。
透湿性塗料とは、結露などが多い建物にも多く使われる、水分・湿気が通りやすい塗料のことで、湿気による引きおこる膨れ、剥離のリスクを軽減します。
下塗り材も透湿性の塗料を選びましょう。
逆に「弾性/微弾性塗料」という種類のものは、小さなひび割れに対応できるよう伸びる性質があるので、湿気の通り道がふがってしまうので、気を付けなくてはなりません。
また、リスクをできるかぎり取り除いたとしても再発の可能性はゼロではありませんので、保証の対象外になることがありますので気を付けてください。
まとめ
本日はサイディングボードの直張り工法にをご紹介しました。
サイディングの直貼り工法は、広く普及した一般的な工法ですが、内部に湿気が溜まりやすく、塗装が剥がれる・膨れるという不具合が起こる危険性があります。
もしも不具合を確実に回避するなら、サイディングを張り替えるしかありません。
しかし、直貼りだからといって100%不具合が起きるわけではないため、ご予算などとも相談して、リスクを減らす「透湿性塗料」で塗装する住宅も多くあります。
塗装する際は、塗装後の対応や保証についても注意が必要です。
きちんと直貼りの説明をしてくれて、アフターメンテナンスの点検などが充実している会社に依頼しましょう。
大切なお家のメンテナンスに、少しでもお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。